1. ソロキャンプのバックパックは「家」そのもの

ソロキャンプにおいて、バックパックは単なる荷物入れではありません。
衣食住のすべてを詰め込み、自分の足で運ぶための「移動する家」です。
自分に合ったバックパックを選ぶことで、移動の疲れは劇的に軽減されます。
逆に、体に合わないものを選ぶと、キャンプ場に着く前に疲弊してしまうこともあります。
まずは、バックパック選びがキャンプの質を左右することを理解しましょう。
これから紹介するポイントを押さえれば、初心者でも最高の一品に出会えるはずです。
| 特徴 | バックパックキャンプのメリット | バックパックキャンプのデメリット |
| 機動力 | 車が入れない絶景ポイントにも行ける | 持ち運べる荷物の量に限界がある |
| 経済性 | 徒歩や公共交通機関を使えば移動費が安い | 軽量で高性能なギアは価格が高くなりがち |
| 設営・撤収 | 荷物が少ないため、準備と片付けが早い | テトリスのようにパッキングする技術が必要 |
| 自由度 | サイトのレイアウトを自由に変更しやすい | 雨天時の撤収や移動が少し大変 |
| スタイル | ミニマリスト的なシンプルなキャンプができる | 豪華な食事や大型焚き火台は諦める必要がある |
2. 失敗しない「容量(リットル)」の選び方

バックパック選びで最初につまずくのが「サイズ(容量)」の問題です。
大きすぎればバックパック自体の重量が増え、小さすぎればギアが入りきりません。
ソロキャンプ初心者に推奨される容量は、一般的に 40L 〜 60L と言われています。
しかし、これは「どの季節に行くか」によって大きく変動します。
以下の表を参考に、自分のキャンプスタイルに合った容量を見極めましょう。
| 容量(L) | 推奨シーズン | ターゲット層 | 特徴・備考 |
| 30L 〜 40L | 夏・初秋 | 上級者・UL志向 | タープ泊やハンモック泊など、装備を極限まで削るスタイル向け。 寝袋が薄くて済む夏場なら初心者でも挑戦可能。 |
| 45L 〜 55L | 春・夏・秋 | 初心者(最適) | テント、寝袋、マット、クッカー、着替えが余裕を持って入るサイズ。 外付け機能を活用すれば冬キャンプも視野に入る。 |
| 60L 〜 75L | 冬・厳冬期 | 中級者以上 | かさばる冬用寝袋やダウンジャケットを収納可能。 初心者が夏に使うと、無駄な荷物が増える原因になるので注意。 |
| 80L 以上 | 長期遠征 | エキスパート | 食料を大量に持つ長期縦走や、カメラ機材が多い人向け。 本体重量だけで 3kg を超えることが多く、体力が必要。 |
最初は「大は小を兼ねる」と考えがちですが、バックパックに関しては注意が必要です。
バックパックの中に隙間ができると、歩行中に重心がブレて疲れやすくなります。
まずは 50L 前後 を基準に探してみることを強くおすすめします。
3. 長時間背負っても疲れない「フィッティング」の極意
容量が決まったら、次は「背負い心地」を確認しましょう。
どんなに高機能なバックパックでも、体に合っていなければただの苦行です。
特に重要なのは「背面長(トルソー)」と「ウエストベルト」の2点です。
バックパックの重さは肩ではなく、腰(骨盤)で支える のが基本です。
| チェック項目 | 確認すべきポイント | 正しい状態 |
| 背面長(トルソー) | 首の付け根から腰骨までの長さ | バックパックの背面パッドが背中のカーブに隙間なく沿っている。 サイズ調整機能付きのモデルがおすすめ。 |
| ウエストベルト | 腰骨を包み込むパッドの位置 | ベルトの中心が腰骨の上端に乗っている。 締めた時に左右のパッドがくっつきすぎない。 |
| ショルダーストラップ | 肩への当たり具合と浮き | 肩のラインに沿ってカーブしている。 ストラップと肩の間に指一本分の隙間もない状態はNG。 |
| ロードリフター | 肩上のストラップの引き具合 | 45度の角度で引けているか。 引くことでパック上部が体に引き寄せられ、重心が安定する。 |
| チェストストラップ | 胸元のベルトの位置 | 鎖骨より少し下の位置で留められる。 呼吸を妨げない程度に締めることで、肩ベルトのズレを防ぐ。 |
実際に店舗で試着する際は、重り(5kg 〜 10kg)を入れてもらいましょう。
空の状態で背負っても、本当の背負い心地はわかりません。
必ず店内を少し歩き回り、どこかに痛みが出ないか確認してください。
4. 使い勝手を左右する「機能」と「アクセス性」

キャンプ場に着いてから「あれ、どこに入れたっけ?」と探すのはストレスです。
荷物の出し入れがスムーズにできる構造かどうかも、重要な選定基準です。
特にバックパックの「開口部」のタイプは、使い勝手に直結します。
自分の性格やパッキングの得意不得意に合わせて選びましょう。
| 構造タイプ | メリット | デメリット | 向いている人 |
| トップローディング (雨蓋式) | ・防水性が高い ・荷物を詰め込みやすい ・容量拡張がしやすい | ・底の荷物が取り出しにくい ・パッキングにコツがいる | ・登山と兼用したい人 ・雨天時も行動する人 |
| パネルローディング (ファスナー式) | ・スーツケースのように大きく開く ・整理整頓がしやすい ・視認性が抜群 | ・ファスナーが壊れると閉まらない ・無理に詰めると閉まらない | ・整理整頓が好きな人 ・キャンプ専用の人 |
| ロールトップ (巻き上げ式) | ・部品が少なく壊れにくい ・荷物量に合わせて圧縮できる ・防水性が非常に高い | ・開閉に手間がかかる ・小物の整理がしにくい | ・UL(ウルトラライト)志向 ・シンプルな道具を好む人 |
また、キャンプでは小物の出し入れが頻繁に発生します。
ウエストベルトのポケットや、サイドポケットの大きさも必ずチェックしましょう。
500ml のペットボトルやスマートフォンが、背負ったまま取り出せると非常に便利です。
5. スタイル別!バックパックの素材と耐久性
バックパックの見た目や質感は、キャンプの雰囲気を盛り上げる要素です。
機能性重視の「登山系」と、無骨さ重視の「ミリタリー系」に大別されます。
それぞれの素材特性を理解して、自分の目指すスタイルに合わせましょう。
| 素材・スタイル | 代表的な素材名 | 特徴 | おすすめのシーン |
| 登山・テクニカル系 | ナイロン ポリエステル | ・軽量で撥水性がある ・汚れに強い ・カラーバリエーションが豊富 | ・長距離を歩く場合 ・雨天が予想される場合 ・初心者全般 |
| ミリタリー・ブッシュクラフト系 | コットンキャンバス 厚手ナイロン(1000D等) | ・火の粉に強い(穴が空きにくい) ・摩耗に強く非常に頑丈 ・モールシステムで拡張可能 | ・焚き火を近くでする場合 ・藪漕ぎをする場合 ・無骨な雰囲気を重視 |
| ウルトラライト(UL)系 | ダイニーマ (DCH) X-PAC | ・圧倒的に軽く、水に強い ・独特のシワ感がおしゃれ ・価格は高めだが一生モノ | ・荷物を極限まで軽くしたい ・スタイリッシュに見せたい ・長距離ハイキング |
6. 【スタイル別】初心者におすすめの厳選バックパック4選
ソロキャンプのスタイルは一つではありません。
ここでは、キャンパーに支持される4つの主要ブランドから、それぞれのスタイルを代表するモデルを厳選しました。
| ブランド・モデル | 目安価格 | 重量 | 特徴 | おすすめスタイル |
| 1. Karrimor (カリマー) Ridge 50+ | 3万円台 | 1.7kg | ・英国発の老舗登山ブランド ・荷重分散性能が非常に高い ・収納ポケットが豊富 | 「快適・王道スタイル」 歩行距離が長くても疲れにくい。初めてのバックパックに最適。 |
| 2. Seibertron (サイバトロン) 3Pタクティカル | 1万円以下 | 1.8kg | ・圧倒的なコストパフォーマンス ・モールシステムで拡張自由 ・生地が厚くラフに扱える | 「無骨・ミリタリー」 予算を抑えたい人や、拡張カスタムを楽しみたい人向け。 |
| 3. DD Hammocks (DDハンモック) DDベルゲン | 2万円台 | 1.7kg | ・メイン収納が大容量 ・サイドポーチが着脱可能 ・ヒロシさんも愛用の名作 | 「ブッシュクラフト」 ハンモック泊や野営スタイルに挑戦したい人へ。 |
| 4. HYPERLITE MOUNTAIN GEAR Southwest 40 | 7万円台 | 0.9kg | ・完全防水のダイニーマ素材 ・驚異的な軽さと耐久性 ・プロも憧れる最高峰ギア | 「UL(ウルトラライト)」 予算をかけてでも「軽さ」と「美しさ」を追求したい人へ。 |
1. Karrimor(カリマー)|Ridge 50+

「carry more(もっと運べる)」が語源と言われるイギリスの老舗ブランド。
登山用として非常に信頼性が高く、特に日本人の体型に合うよう設計されたモデルが多く販売されています。
長時間背負っても疲れにくいクッション性は、体力に自信がない初心者の強い味方です。
2. Seibertron(サイバトロン)|3Pタクティカル

Amazonなどで圧倒的な人気を誇る、コスパ最強のミリタリーバッグです。
モールシステムと呼ばれるベルトが全面に付いており、ポーチやカラビナを自由に取り付けて拡張できるのが最大の魅力。
作りは非常に頑丈ですが、本体重量はやや重めなので、移動距離が短いキャンプにおすすめです。
3. DD Hammocks(DDハンモック)|DDベルゲン リュックサック

ブッシュクラフトやハンモックキャンプの代名詞とも言えるブランドです。
サイドのポーチを取り外して単体で使えるなど、キャンプ地での使い勝手が計算し尽くされています。
「不便を楽しむ」ような、無骨で男前なスタイルを目指すならこの一択です。
4. HYPERLITE MOUNTAIN GEAR|Southwest 40

ウルトラライト(UL)ハイキング界の頂点に君臨するアメリカのブランド。
「ダイニーマ」という鉄の15倍の強度を持つ特殊素材を使用しており、驚くほど軽く、水にも強いのが特徴です。
価格は高価ですが、白や黒のスタイリッシュな見た目はキャンプ場で一目置かれる存在になります [1]。
7. 基本のパッキング術と重量配分

良いバックパックを手に入れても、詰め方を間違えると重く感じてしまいます。
パッキングの基本は「重心を背中に近づけ、上の方に持ってくる」ことです。
以下の表に従って荷物を詰めるだけで、体感重量は驚くほど軽くなります。
| 収納エリア | 入れるべきギアの例 | 理由・ポイント |
| 最下部 (ボトム) | ・寝袋(シュラフ) ・着替え ・エアマット | キャンプ場に着くまで使わない軽いものを入れる。 衝撃吸収材の役割も果たす。 |
| 背面側・中央 (一番重いゾーン) | ・水、食料 ・モバイルバッテリー ・予備燃料 | 一番重いものをここに入れる。 背中に密着させることで、後ろに引っ張られる力を防ぐ。 |
| 外側・中央 (背中から遠い) | ・クッカー ・焚き火台 ・テント(ポール除く) | 比較的軽く、形が定まらないものを入れる。 隙間を埋めるように詰め込む。 |
| 上部 (雨蓋・トップ) | ・行動食、地図 ・レインウェア ・ヘッドライト | すぐに取り出したいものを入れる。 使用頻度が高いアイテムをまとめる。 |
| 外付け (ストラップ) | ・銀マット(クローズドセル) ・長尺のポール | かさばる軽いものは外側にくくりつける。 ただし、横幅が広がりすぎないように注意。 |
パッキングのコツは、スタッフバッグ(小分け袋)を使いすぎないことです。
寝袋や着替えなどは、あえて袋から出して隙間に詰め込むと、デッドスペースが減ります。
また、左右の重量バランスが均等になるように意識しましょう。
片方だけ重いと、歩行中に体が傾き、腰痛の原因になります。
8. まとめ:最高の相棒と出かけよう

バックパック選びは、自分がどんなキャンプをしたいのかを決める旅でもあります。
快適に歩きたいならカリマー、無骨にカスタムしたいならサイバトロンやDDハンモック、そして軽さを極めるならHYPERLITE。
それぞれのブランドには、明確なフィロソフィーがあります。
今回の重要ポイント
- 容量:初心者は 50L 前後が使いやすい。
- スタイル:自分の目指すキャンプスタイル(快適・無骨・軽量)に合わせてブランドを選ぶ。
- パッキング:重いものは背中側へ、軽いものは下へ。
最高の「相棒」を見つけて、あなただけの自由なソロキャンプを楽しんでください。


