「冬キャンプは荷物が増える」
これは全キャンパー共通の悩みです。
分厚いシュラフ、重たいストーブ、そして調理用のコンロ。
「もっと荷物を減らして、身軽に冬を楽しみたい」
そんな願いを叶える画期的なギアが、信頼のイワタニから登場しました。
その名は**「イザまる」**(型番:CB-IZ-1)。
一見すると普通の小型ストーブに見えますが、実は**「カセットこんろ」にも変身する**という、驚きの2way仕様です。
「暖房」と「調理」。
今まで別々に持っていっていた2つの道具が、これ1台で済むとしたら?
バックパック1つで冬キャンプに行くことも、夢ではなくなります。
本記事では、この「イザまる」のスペックと活用術を徹底的に解剖します。
カタログスペックの裏側にある「実際の使い勝手」を、嘘偽りなくお伝えします。
1. 「イザまる」最大の衝撃:ただのストーブではない


多くの人が誤解していますが、「イザまる」は単なる暖房器具ではありません。
正式名称は**「カセットフー こんろ&ストーブ “イザまる”」**。
その名の通り、パーツを付け替えることで2つの顔を持ちます。
業界初の「変身」システム
仕組みは非常にシンプルです。
本体上部のユニットを交換するだけで、機能がガラリと変わります。
| モード | 機能・役割 | こんな時に使う |
| ストーブモード | 遠赤外線で身体を温める | テント前室での暖房、足元の冷え対策 |
| こんろモード | 五徳(ごとく)で鍋を加熱 | 料理、湯沸かし、炊飯 |
特筆すべきは、**「ストーブモードのままでも、やかんが置ける」**という点です。
暖を取りながら、上でお湯を沸かして加湿する。
昔ながらの石油ストーブのような使い方が、この小さなガス缶1本で実現できます。
2. スペック検証:驚異の軽さとサイズ感

「イザまる」の最大の特徴である「軽さ」と「サイズ」を、客観的なデータで検証します。
特に重量については、競合製品と比べても頭一つ抜けています。
「イザまる」基本スペック表
| 項目 | ストーブ時(暖房) | こんろ時(調理) | 備考 |
| サイズ (mm) | 幅216×奥197×高265 | 幅216×奥197×高120 | 非常にコンパクト |
| 重量 | 約 1.9 kg | 約 1.4 kg | カセットガス含まず |
| 最大発熱量 | 1.4 kW (1,200 kcal/h) | 同左 | タフまるJr.の約6割 |
| 連続燃焼時間 | 約 2 時間 25 分 | 同左 | イワタニガス使用時 |
| 使用ガス | イワタニカセットガス | 同左 | CB缶 |
2kgを切るという意味
重量 1.9 kg というのは、2Lのペットボトルより軽量です。
一般的なカセットガスストーブ(「マイ暖」など)は2.6kg前後。
人気のアラジン製ガスストーブは5.7kgもあります。
「イザまる」は、現行の主要なガスストーブの中で圧倒的に軽い部類に入ります。
こんろモードの 1.4 kg に至っては、一般的なカセットコンロと同等かそれ以下。
「ストーブを持っていく」という感覚ではなく、「コンロを持っていったら、暖房もついてきた」という感覚に近いです。
3. キャンプでの実用性:これ1台で完結する朝

実際のキャンプシーンを想像してみてください。
氷点下の朝。シュラフから出るのが億劫な時間。
「イザまる」があれば、シュラフに入ったまま手を伸ばして点火できます。
火力は十分か?
最大発熱量 1.4 kW という数値は、調理用としては「中火〜弱火」レベルです。
人気の「タフまるJr.」(2.3 kW)と比較すると、パワーは6割程度。
中華料理のような強火調理には向きません。
しかし、以下の用途なら全く問題ありません。
| 用途 | イザまるでの可否 | 快適度 |
| 湯沸かし | 〇 | 朝のコーヒーやカップ麺には十分 |
| 煮込み料理 | 〇 | 弱火でコトコト煮込むおでん等に最適 |
| 焼き肉 | △ | 火力が弱く、肉が焼けるのに時間がかかる |
| 炒め物 | × | フライパンを振るような料理は不向き |
暖かさは「スポット暖房」として優秀
暖房能力としては、木造4畳・コンクリート5畳が目安です。
真冬の屋外でこれ1台で過ごすのは厳しいですが、**「風を遮った場所」**なら効果絶大です。
- ソロ用テントの前室
- 足元のスポットヒーター
- チェアのすぐ横
「空間全体」ではなく「自分」を温める。
そういう割り切った使い方ができる人には、最高の相棒になります。
4. 防災ギアとしての真価

商品名「イザまる」の由来は、**「イザ(非常時)」**にも役立つことから来ています。
防災士の視点からも、この製品は非常に理にかなっています。
「食」と「暖」の同時確保
大規模災害時、ライフライン(電気・ガス)が止まった際、最も困るのは以下の2点です。
- 温かい食事が作れない(精神的ストレス)
- 寒さで体力を奪われる(低体温症のリスク)
「イザまる」とカセットガスがあれば、この両方を解決できます。
お湯を沸かしてカップ麺を作り、食べながら暖を取る。
この一連の動作が1台で完結するため、防災リュックのスペースを圧迫しません。
ガス缶1本で約2.5時間燃焼するため、1日4本あれば10時間暖房が可能。
備蓄計算がしやすいのも大きなメリットです。
5. イワタニが譲らない「安全性」

屋内用として販売するためには、厳しい安全基準をクリアする必要があります。
安価な海外製ヒーターにはない、イワタニならではの4つの安全装置を搭載しています。
命を守る4つの機能
| 安全装置の名称 | どのような時に作動するか | 実際の動作 |
| 1. 不完全燃焼防止装置 | 室内の酸素が不足した時 | 自動的にガスを遮断し消火 |
| 2. 立消え安全装置 | 風などで不意に火が消えた時 | ガスの放出を止める |
| 3. 転倒時消火装置 | 本体が倒れたり、衝撃を受けた時 | 即座に自動消火 |
| 4. 圧力感知安全装置 | カセットボンベが過熱し圧力が上がった時 | ボンベを外してガスを遮断 |
※重要:テント内使用について
メーカー(岩谷産業)は、テント内や車内での使用を禁止しています。
安全装置があるとはいえ、密閉空間での使用は一酸化炭素中毒のリスクが伴います。
キャンプで使用する場合は、必ず換気の良い場所で使用し、就寝時は必ず消火してください。
安全装置は「最後の砦」であり、過信は禁物です。[1]
6. 購入前の最終チェック:向いている人・いない人
ここまでご紹介してきましたが、全ての人に完璧な製品ではありません。
ご自身のスタイルに合うか、チェックリストで確認してください。
この製品が「向いている人」
- ソロ〜デュオキャンパー:荷物を極限まで減らしたい人。
- 防災意識が高い人:普段使いしながら備蓄もしたい人。
- 寒がりな人:脱衣所やトイレなど、家の寒い場所で使いたい人。
- 機械が苦手な人:カセットガスをセットして回すだけの簡単操作。
この製品が「向いていない人」
- ファミリーキャンパーのメイン暖房:これ1台で大型テントは暖まりません(補助ならOK)。
- 本格的な料理をしたい人:火力が弱く、五徳も小さいため、大鍋や炒め物には不向き。
- デザイン重視の人:アラジンのような「映え」よりも、実用性重視のデザインです。
競合製品との比較
| 製品名 | イワタニ「イザまる」 | イワタニ「マイ暖」 | アラジン「ポータブルガスストーブ」 |
| 重量 | 1.9 kg | 2.6 kg | 5.3 kg |
| 機能 | 暖房 + 調理 | 暖房のみ | 暖房のみ |
| 発熱量 | 1.4 kW | 1.0 kW | 2.0 kW |
| 特徴 | 軽量・2way | バランス型 | デザイン・高火力 |
こうして比較すると、「イザまる」が携帯性と多機能性に特化した製品であることが分かります。
7. まとめ:ミニマリスト冬キャンプの最適解
「イザまる」の価値は、**「足す」のではなく「減らす」**ことにあります。
こんろとストーブ、2つの道具を1つにまとめる。
それによって荷物が減り、設営・撤収の手間が減り、自由な時間が増える。
これこそが、このギアが提供してくれる最大の価値です。
冬のキャンプ場。
キリッと冷えた空気の中で、イザまるの赤い炎を眺めながらコーヒーを淹れる。
そんな贅沢な時間を、ぜひ体験してみてください。


