【完全ガイド】ルーフテント購入で後悔しないための全知識 | メリット・デメリットを徹底比較

キャンプギア

「いつものキャンプを、もっと自由で快適なものにしたい」 そのように考えたことはありませんか。

そんな願いを叶えるアイテムとして、今注目を集めているのが「ルーフテント」です。 車の屋根に設置するだけで、どこでも快適な寝室に早変わりします。

しかし、魅力的な製品である一方、購入してから「思っていたのと違った」と後悔するケースも少なくありません。 この記事では、ルーフテントの購入を検討しているあなたが後悔しないために、以下の点を網羅的に解説します。

ルーフテントとは?|基本の2種類を解説

ルーフテントとは、その名の通り、自動車の屋根(ルーフ)の上に取り付けて使用するテントのことです。 ルーフキャリアと呼ばれる土台の上に設置し、展開することで居住空間が生まれます。

地面に直接設営する一般的なテントとは異なり、車がある場所ならどこでもすぐに寝室を確保できるのが最大の特徴です。 主に「ハードシェル」と「ソフトシェル」の2種類に大別されます。

ハードシェルタイプ

FRP(繊維強化プラスチック)やアルミなどの硬い素材でできたカバーを持つタイプです。 油圧ダンパーなどの力で、カバーを開けるだけで簡単に設営できるモデルが多くあります。

ソフトシェルタイプ

テント生地を折りたたんで収納するタイプです。 設営にはカバーを外し、はしごを伸ばしてテントを展開する手間が少しだけかかります。 しかし、一般的にハードシェルよりも軽量で、価格も比較的安価な傾向にあります。

種類特徴設営の手軽さ価格帯
ハードシェル硬い素材のカバーで覆われている◎(非常に簡単)高価
ソフトシェルテント生地を折りたたんで収納◯(比較的簡単)比較的安価

比較でわかる!ルーフテントのメリット

ルーフテントには、従来のキャンプや車中泊の概念を覆すほどの魅力的なメリットが数多く存在します。 ここでは、代表的な5つのメリットを詳しく見ていきましょう。

1. 設営・撤収が圧倒的に早い

ルーフテント最大のメリットは、設営と撤収の手軽さです。 地面に設営するテントのように、ポールを組み立てたり、ペグを打ち込んだりする必要がありません。

作業工程地上テントルーフテント(ハードシェル)
1. 場所確保平坦で安全な場所を探す駐車スペースを確保
2. テント設営ポール組立、ペグダウンなどロックを外し、カバーを開ける
3. 内部準備マット、寝袋などを中に運ぶ寝具は収納済みのことが多い
所要時間目安20分~40分1分~5分

特にハードシェルタイプの場合、車の停車後、わずか数分で快適な寝室が完成します。 この手軽さは、移動の多い旅行や、悪天候時の設営・撤収において絶大な効果を発揮します。

2. 地面の状態に左右されない快適な寝心地

キャンプ場の地面は、必ずしも平坦とは限りません。 石がゴツゴツしていたり、雨でぬかるんでいたりすることもあります。

ルーフテントは地面から離れた車の上に設営するため、地面のコンディションに一切影響されません。 多くのモデルには厚みのある専用マットレスが標準装備されており、自宅のベッドに近い快適な環境で眠ることができます。

3. 圧倒的な眺望と開放感

ルーフテントは地上から高さがあるため、見晴らしが非常に良いのが特徴です。 朝起きてテントの窓を開ければ、普段とは違う高さからの絶景が目に飛び込んできます。

また、周囲の視線を気にすることなく、プライベートな空間を確保しやすいという利点もあります。 まるで秘密基地のような空間で、自然との一体感を存分に味わえるでしょう。

4. 野生動物などからの安全性が高い

地面から離れていることで、思わぬメリットも生まれます。 それは、野生動物や害虫との遭遇リスクを大幅に軽減できることです。

特に山間部でのキャンプでは、イノシシやシカ、時にはクマといった動物との遭遇も考えられます。 ルーフテントであれば、地面を徘徊する動物から物理的に距離を置けるため、安心して夜を過ごすことができます。

5. どこでもキャンプ地にできる自由度の高さ

オートキャンプ場はもちろんのこと、RVパークや景色の良いパーキングエリアなど、車を停められる場所であればどこでも宿泊拠点にできます [1]。 これにより、旅行の自由度が格段に向上します。

例えば、目的地へ向かう途中のサービスエリアで仮眠をとったり、早朝から活動したい登山口の駐車場で前泊したりといった活用が可能です。 時間や場所に縛られない、新しい旅のスタイルを実現できます。

購入前に知るべきルーフテントのデメリットと対策

多くのメリットがある一方で、ルーフテントにはもちろんデメリットも存在します。 購入後に後悔しないためにも、欠点とその対策をしっかりと理解しておきましょう。

1. 価格が高い

ルーフテントは決して安い買い物ではありません。 製品にもよりますが、一般的に20万円から60万円程度の費用がかかります。

さらに、車にルーフキャリアが装着されていない場合は、別途キャリアの購入・取り付け費用が必要です。 初期投資が高額になる点は、最大のデメリットと言えるでしょう。

費用項目価格帯の目安備考
ルーフテント本体20万円 ~ 60万円シェルの種類やブランドによる
ベースキャリア3万円 ~ 7万円車種適合品が必要
取り付け工賃2万円 ~ 5万円専門業者に依頼する場合
合計25万円 ~ 72万円あくまで目安

対策

  • 中古品を探す、セール時期を狙うなど、購入方法を工夫する。
  • レンタルサービスを利用して、まずは使い心地を試してみる。
  • 長期的な視点で、ホテル代の節約分などを考慮して投資価値を判断する。

2. 車両への負担と燃費への影響

ルーフテント本体は、軽いものでも40kg以上、重いモデルでは70kg以上の重量があります。 この重量物を常に屋根に載せて走行するため、車の重心が高くなり、走行安定性に影響が出る可能性があります。

特にカーブや横風の強い場所では、ふらつきやすくなるため注意が必要です。 また、空気抵抗が増加することで、一般的に燃費は5%から10%程度悪化すると言われています [2]。

対策

  • 自分の車の最大積載量やルーフの耐荷重を必ず確認する。
  • 急ハンドルや急ブレーキを避け、いつも以上に安全運転を心がける。
  • 不要な時期には取り外しておくことで、燃費の悪化を最小限に抑える。

3. 高さ制限のある場所に入れない

ルーフテントを装着すると、車の全高が20cmから40cm程度高くなります。 これにより、普段利用できていた場所に車を入れられなくなる可能性があります。

特に注意が必要なのは、高さ制限が設けられている立体駐車場です。 多くの立体駐車場は高さ2.1メートル以下に設定されており、ルーフテント装着車は利用できないケースがほとんどです。

場所一般的な高さ制限注意点
機械式立体駐車場1.55メートル 以下ほぼ利用不可
自走式立体駐車場2.1メートル ~ 2.3メートル車種によっては利用できない
古いトンネル・高架下2.5メートル 以下の場合も標識の確認が必須

対策

  • ルーフテント装着後の車の高さを正確に測定し、運転席にメモを貼っておく。
  • 外出先では、平置きの駐車場を優先的に探すようにする。
  • 自宅の駐車場が立体駐車場の場合は、保管場所を別途検討する必要がある。

4. 乗り降りに手間がかかる

ルーフテントへの出入りは、専用のはしごを使います。 若くて健康なうちは問題なくても、雨の日や夜中、体調が悪い時には少し不便に感じるかもしれません。

また、小さなお子様やペットがいる場合は、乗り降りの際に転落しないよう細心の注意が必要です。 トイレなどで夜中にテントを離れる際も、一手間かかることを覚えておきましょう。

対策

  • 購入前に、実物のはしごの昇り降りを試してみる。
  • 滑り止め付きのはしごや、持ち手のついたモデルを選ぶ。
  • 夜間でも足元を照らせるよう、センサーライトなどを活用する。

5. テントを設営すると車を動かせない

一度ルーフテントを設営してしまうと、当然ながら車を動かすことはできなくなります。 キャンプ場に連泊している場合、日中に車で買い出しや温泉に出かけたいと思っても、その都度テントを撤収しなければなりません。

これは、設営・撤収が簡単とはいえ、頻繁に行うとなると面倒に感じる可能性があります。 旅のスタイルによっては、大きな制約となるデメリットです。

対策

  • 自転車を積んでいく、現地の公共交通機関を利用するなど、車以外の移動手段を確保する。
  • キャンプ場に到着する前に、必要な買い出しを全て済ませておく。
  • 短時間の移動であれば、タープなどを拠点として活用し、テントは就寝時のみ設営する。

一目でわかる!メリット・デメリット総まとめ表

ここまで解説してきた内容を、一覧表にまとめました。 ご自身のキャンプスタイルと照らし合わせながら、利点と欠点を比較検討してみてください。

項目詳細内容
メリット
◎ 設営・撤収圧倒的に早い(数分で完了)。ペグダウン不要。
◎ 快適性地面の凹凸やぬかるみの影響を受けない。厚いマットレスで快眠。
◎ 眺望・開放感地上より高い視点からの景色が楽しめる。プライベート感がある。
◎ 安全性野生動物や害虫から物理的に距離を置ける。
◎ 自由度車が停められる場所ならどこでも宿泊可能。旅の選択肢が広がる。
デメリット
× 価格本体・キャリア・工賃を含めると高額な初期投資が必要。
× 車両への影響重心が高くなり走行が不安定になる可能性。燃費が悪化する。
× 高さ制限立体駐車場など、入れなくなる場所が増える。
× 乗り降りはしごの上り下りが必要。悪天候時や夜間は不便。
× 機動性の低下一度設営すると車を動かせない。連泊時の買い出しなどに制約。

あなたに合うのはどっち?ルーフテントの種類と選び方

ルーフテント選びで重要なのは、「自分のキャンプスタイルに合っているか」という点です。 ここでは、ハードシェルとソフトシェルの特徴をさらに詳しく比較し、どのような人におすすめかを解説します。

ハードシェルとソフトシェルの徹底比較

比較項目ハードシェルソフトシェル
設営時間1分~5分5分~15分
収納時の形状流線型の箱状四角いカバー付き
走行時の風切り音比較的静かやや大きい傾向
価格高い(40万円~)比較的安い(20万円~)
内部空間シンプルな長方形展開方法により多様
拡張性モデルは少ないアネックスルーム等で拡張可能
重量重い傾向(60kg~)比較的軽い傾向(40kg~)
耐久性カバーが頑丈で耐候性が高い生地部分の経年劣化に注意

こんな人におすすめ

ハードシェルがおすすめな人

  • とにかく設営・撤収の手間を省きたい方
  • 2人以下での利用(ソロ、デュオ)がメインの方
  • 走行時の静粛性や見た目を重視する方
  • 予算に比較的余裕がある方

ソフトシェルがおすすめな人

  • 初期費用をできるだけ抑えたい方
  • 3人以上(ファミリー)で利用したい方
  • テントサイトを拡張してリビングスペースも確保したい方
  • 車の耐荷重が低めで、少しでも軽いモデルを探している方

【重要】購入前に必ず確認すべき法的注意点

ルーフテントは、法律上「積載物」として扱われます。 知らずに法律違反とならないよう、以下の点は必ず守る必要があります。

道路交通法上の規定

ルーフテントを積載した状態で公道を走行する際は、以下の制限を超えてはいけません [3]。

項目制限内容
高さ地上から3.8メートルまで(一部車種は緩和措置あり)
長さ自動車の全長の1.1倍まで
自動車の全幅まで
積載方法確実・安全に固定されていること

ほとんどの乗用車とルーフテントの組み合わせでは高さを超過する心配はありませんが、車高の高い車の場合は注意が必要です。 また、取り付けが不完全だと、走行中に脱落する重大事故につながるため、専門知識のある販売店で確実に取り付けてもらうことを強く推奨します。

車検について

ルーフキャリアにボルトなどで固定されているルーフテントは「積載物」扱いのため、基本的には装着したままで車検を通すことが可能です。 ただし、以下の点に注意してください。

  • 各部の寸法が上記の積載制限内に収まっていること。
  • ランプ類(ブレーキランプなど)がテントで隠れていないこと。
  • 車両総重量が、車検証に記載の重量から大きく逸脱していないこと。

検査官の判断によっては指摘を受ける可能性もゼロではないため、不安な場合は事前に車検を依頼する工場や陸運局に問い合わせておくと安心です。

ルーフテントに関するよくある質問(Q&A)

質問回答
Q1. どんな車にも取り付けられますか?A1. 基本的に、純正または市販のルーフキャリアが装着できる車であれば取り付け可能です。ただし、車種ごとにルーフの耐荷重が定められているため、必ず確認が必要です。オープンカーや一部の特殊な形状の屋根を持つ車には取り付けできません。
Q2. 強風や雨の日は大丈夫ですか?A2. 耐風・防水性能は製品によって異なりますが、一般的なキャンプ用テントと同等以上の性能を持っています。ただし、台風のような暴風が予想される場合は、設営を中止し安全な場所に避難してください。雨の日は、撤収時にテントが濡れているとカビの原因になるため、帰宅後に必ず乾燥させる必要があります。
Q3. 夏の暑さや冬の寒さ対策は?A3. 夏は、断熱性の高いモデルを選んだり、ポータブル扇風機を持ち込んだりすることで対策します。冬は、冬用のシュラフ(寝袋)を使用するほか、オプションで用意されている断熱インナーを取り付けると快適性が大きく向上します。
Q4. 使わない時期の保管はどうすれば良いですか?A4. 車に載せたままにしておくことも可能ですが、燃費や車の塗装保護の観点からは、取り外して保管するのが理想です。重量があるため、2人以上での作業が推奨されます。保管場所は、直射日光や雨風を避けられるガレージや倉庫が最適です。

まとめ:ルーフテントはこんな人におすすめ

ルーフテントは、これまでのキャンプや車中泊の常識を覆す、非常に魅力的なアイテムです。 最後に、この記事の内容を踏まえ、ルーフテントが特にどのような人におすすめできるかをまとめます。

  • とにかく手軽にキャンプを始めたい、楽しみたい人
  • 夫婦やカップル、少人数の仲間で旅をするのが好きな人
  • 釣りやサーフィン、登山など、早朝から活動する趣味を持つ人
  • 決まった目的地だけでなく、自由気ままな旅を楽しみたい人

もちろん、価格や車両への影響といったデメリットも存在します。 しかし、それらを上回るほどの「時間」と「自由」、そして「特別な体験」をもたらしてくれるのがルーフテントの最大の価値です。

この記事が、あなたのルーフテント選びの一助となれば幸いです。 最高の相棒を見つけて、新しい冒険に出かけましょう。


脚注

[1] 公共の駐車場などで宿泊する場合は、その場所のルールやマナーを必ず守ってください。「車中泊禁止」の場所では利用できません。
[2] 燃費の悪化率は、車種、ルーフテントのモデル、走行状況によって変動します。
[3] 道路交通法施行令 第22条(自動車の積載制限)に基づきます。正確な情報は、管轄の警察署や関連法規をご確認ください。

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