はじめに:キャンプの靴選び、意外と間違っていませんか?
キャンプを始めたばかりの方が、意外と見落としがちなギア。
それは「靴」です。
テントや焚き火台にはこだわるのに、足元は普段のスニーカーのままという方も多いのではないでしょうか。
しかし、キャンプ場の環境は想像以上に過酷です。
朝露で濡れた芝生、ぬかるんだ土、ゴツゴツした石畳。
普通のスニーカーでは、靴下が濡れて不快な思いをしたり、滑って怪我をしたりするリスクがあります。
かといって、本格的な登山靴は重くて硬く、テントの出入りで脱ぎ履きするのが大変です。
「機能性は欲しいけれど、ガチすぎる登山靴はちょっと……」
そんなキャンパーの悩みを解決する、画期的なシューズが登場しました。
それが、VANSの「MTE CROSSPATH XC GORE-TEX(クロスパス XC)」です。
ストリートの定番であるVANSのデザイン性を保ちつつ、最新のアウトドア機能を詰め込んだこの一足。
今回は、なぜこのシューズがキャンプ初心者にこそおすすめなのか、その魅力を徹底的に深掘りしていきます。
VANS「MTE クロスパス XC」とは?

VANSといえば、スケートボードシューズのイメージが強いブランドです。
しかし、近年は「MTE(MADE FOR THE ELEMENTS)」というアウトドアラインに力を入れています。
そのMTEシリーズから2024年〜2025年にかけて登場した最新モデルが、この「クロスパス XC」です。
一見すると、スタイリッシュなハイテクスニーカーにしか見えません。
しかし、その内部には過酷な環境に耐えうるテクノロジーが満載されています。
コンセプトは「全地形対応」。
街中の舗装路から、キャンプ場の悪路まで、あらゆるシーンをシームレスに繋ぐことを目指して開発されました。
まずは、その基本情報を整理してみましょう。
| 基本情報項目 | 内容・仕様 |
| 製品名 | MTE CROSSPATH XC GORE-TEX |
| ブランド | VANS(ヴァンズ) |
| カテゴリー | 全天候型アウトドアシューズ |
| アッパー素材 | 合成繊維、スエード(撥水加工) |
| 防水透湿素材 | GORE-TEX Invisible Fit |
| アウトソール | Vibram XS TREK EVO |
| シューレース | スピードレースシステム |
| 参考価格 | 23,650円(税込)前後 |
| 重量目安 | 約400g〜500g(片足) |
| 用途 | タウンユース、キャンプ、ハイキング |
スペック詳細:見た目はVANS、中身は登山靴
「クロスパス XC」が単なるファッションスニーカーではない理由は、採用されている素材にあります。
アウトドア業界で「最強」と呼ばれる素材を惜しみなく使用しているのです。
それぞれの機能がキャンプでどう役立つのか、詳しく見ていきましょう。
1. 鉄壁の防水性:GORE-TEX Invisible Fit

キャンプにおいて「足が濡れない」ことは、快適性を保つための絶対条件です。
このシューズには、防水透湿素材の最高峰「GORE-TEX(ゴアテックス)」が採用されています。
しかも、通常のゴアテックスよりも軽量で、足へのフィット感が高い「Invisible Fit」テクノロジーを搭載しています。
| 特徴 | 一般的な防水シューズ | クロスパス XC (GORE-TEX Invisible Fit) |
| 防水性 | 表面加工のみの場合が多い | メンブレンによる完全防水 |
| 通気性 | 蒸れやすい | 湿気を逃し、常にドライ |
| 履き心地 | ゴワゴワして硬い | スニーカーのようにしなやか |
| 乾燥速度 | 乾きにくい | 吸水生地が少なく乾きが早い |
急な通り雨や、朝露でびしょ濡れの芝生を歩いても、靴下への浸水を防いでくれます。
2. 圧倒的なグリップ力:Vibram XS TREK EVO

アウトソール(靴底)には、登山靴の定番である「Vibram(ビブラム)社」のソールを採用しています。
その中でも「XS TREK EVO」は、耐久性とグリップ力のバランスに優れたモデルです。
独自の新設計トレッドパターンが、泥や小石を噛み込み、滑りやすい地面でもしっかりと踏ん張ることができます。
| シチュエーション | 一般的なスニーカー | クロスパス XC (Vibramソール) |
| 濡れた芝生 | 滑って転倒のリスクあり | 確実に地面をグリップ |
| 砂利道 | 足裏に石の感触が伝わる | 安定して歩行可能 |
| 岩場・川辺 | ソールが滑り危険 | 濡れた岩でも滑りにくい |
| 泥道 | 泥が詰まって滑る | 排土性が高く詰まりにくい |
3. 快適なクッション性:UltraCush

VANS独自の「UltraCush(ウルトラクッシュ)」インソールを搭載しています。
長時間歩いても疲れにくく、テント設営や撤収作業での足への負担を軽減します。
キャンプでこそ真価を発揮する3つの理由
機能性が高いことは分かりましたが、なぜ「キャンプ初心者」におすすめなのでしょうか。
それは、キャンプ特有の「あの動き」に対応しているからです。
理由1:テントの出入りが劇的に楽になる

キャンプでは、テントに出たり入ったりする回数が非常に多いです。
トイレに行くとき、荷物を取りに行くとき、寝るとき。
そのたびに紐を結んだり解いたりするのは、非常にストレスになります。
「クロスパス XC」は、紐を結ぶ必要のない「スピードレースシステム」を採用しています。
クリップを引くだけで締まり、タブを引けば一瞬で緩みます。
| 比較項目 | 登山靴(紐靴) | サンダル | クロスパス XC |
| 脱ぎ履き | 非常に面倒(1分以上) | 最速(1秒) | 非常に早い(5秒) |
| 安全性 | 高い | 低い(怪我のリスク) | 高い |
| 保温性 | 高い | 低い | 高い |
| 雨天対応 | 強い | 足が濡れる | 強い |
サンダルのような手軽さと、ブーツの保護性能を両立している点が、キャンパーにとって最大のメリットです。
理由2:コーディネートを選ばないデザイン

キャンプウェアは、アースカラーや機能的な素材が多いですが、足元がゴツすぎると街中で浮いてしまいます。
「クロスパス XC」は、VANSのデザインDNAを受け継いでいるため、ジーンズやカーゴパンツとの相性が抜群です。
自宅から履いていき、そのままキャンプを楽しみ、帰りにショッピングモールに寄っても違和感がありません。
荷物を減らしたいキャンパーにとって、「履き替え用の靴」を持たなくて良いのは大きな利点です。
理由3:タフな扱いにも耐える耐久性

つま先や踵など、ダメージを受けやすい部分はしっかりと補強されています。
焚き火の薪を足で押さえたり、ペグを軽く踏み込んだりといった、ラフな動作にも耐えられます。
(※ただし、化学繊維のため火の粉による穴あきには注意が必要です)
他ジャンルシューズとの比較検証
ここで、キャンプによく使われる他のシューズと性能を比較してみましょう。
読者の皆様が現在履いている靴と比べて、どの程度アップグレードされるかをご確認ください。
| 比較項目 | 普通のスニーカー | ワークマン(格安防水靴) | 本格トレッキングシューズ | VANS クロスパス XC |
| 価格帯 | 5,000円〜 | 2,000円〜 | 20,000円〜 | 23,650円 |
| 防水性能 | ほぼ無し | あり(表面撥水が主) | 完全防水(GORE-TEX等) | 完全防水(GORE-TEX) |
| 透湿性 | 普通 | 低い(蒸れやすい) | 高い | 高い |
| グリップ | 弱い | 普通 | 最強 | 非常に強い |
| 重量 | 軽い | 普通 | 重い | 普通(やや重め) |
| 脱ぎ履き | 普通 | 普通 | 面倒 | 楽(スピードレース) |
| 街履き | ◎ | △(作業靴感が強い) | △(ゴツすぎる) | ◎(違和感なし) |
ワークマン等のコスパシューズも優秀ですが、「透湿性(蒸れにくさ)」と「デザイン性」においては、クロスパス XCに軍配が上がります。
本格トレッキングシューズは機能最強ですが、キャンプ場の散策程度にはオーバースペックで、脱ぎ履きの面倒さがネックになります。
クロスパス XCは、まさに「いいとこ取り」のバランスを実現しているのです。
サイズ感と選び方のコツ
海外ブランドのシューズを購入する際、最も気になるのがサイズ感です。
VANSは一般的に「幅がやや狭く、甲が低い」と言われることが多いブランドです。
しかし、この「クロスパス XC」はアウトドア仕様のため、厚手の靴下を履くことを想定してか、ややゆとりのある作りになっています。
私の推奨するサイズ選びの基準は以下の通りです。
| 足の特徴 | 推奨サイズ |
| 普段VANSを履いている | 同じサイズ、または0.5cmアップ |
| 幅広・甲高の方 | 0.5cm〜1.0cmアップ |
| 厚手の登山靴下を履く | 0.5cmアップ |
| 薄手の靴下メイン | ジャストサイズ(実寸+0.5cm) |
スピードレースシステムで締め付けの調整が容易なため、迷ったら「少し大きめ」を選ぶのが失敗しないコツです。
キャンプでは夕方になると足がむくみやすいため、余裕を持たせたサイズ選びが快適性に繋がります。
メリット・デメリットまとめ
購入を検討する材料として、良い点だけでなく、注意すべき点も正直にお伝えします。
メリット(買うべき理由)
- 全天候対応:雨でも晴れでも、これ一足で完結する。
- 脱ぎ履きが楽:テント泊のストレスを大幅に軽減。
- スタイル:街でもキャンプでもキマるデザイン。
- 信頼性:GORE-TEXとVibramという間違いのない素材。
デメリット(注意点)
- 価格:2万円オーバーと、スニーカーとしては高価。
- 火への耐性:革製のブーツに比べると、焚き火の火の粉には弱い。
- 入手性:人気モデルのため、サイズによっては在庫切れが多い。
| 評価軸 | 評価(5段階) | コメント |
| 機能性 | ★★★★★ | 文句なしのハイスペック |
| デザイン | ★★★★★ | 唯一無二の存在感 |
| コスパ | ★★★☆☆ | 初期投資は高いが長く使える |
| 初心者度 | ★★★★☆ | 靴紐の手間がないのが最高 |
まとめ:この一足で、キャンプはもっと自由になる

たかが靴、されど靴。
足元の不安がなくなるだけで、キャンプの楽しさは何倍にも膨らみます。
雨予報に怯えることもなく、テントの出入りでイライラすることもなく、ただ純粋に自然を楽しむことができる。
「VANS MTE CROSSPATH XC GORE-TEX」は、そんなストレスフリーなキャンプライフを提供してくれる頼もしい相棒です。
これからキャンプを始める方も、今の靴にしっくりきていないベテランの方も、ぜひ一度足を通してみてください。
街から山へ、そして日常へ。
境界線(Cross Path)を越えていけるこのシューズが、あなたの新しい冒険を支えてくれるはずです。
脚注
[1] VANS 公式サイト
[2] GORE-TEX Invisible Fit テクノロジー詳細
[3] Vibram XS TREK EVO 詳細


