はじめに:自然の中で”ととのう”、究極のアウトドア体験
近年、空前のサウナブームが到来しています。 そして、その楽しみ方は温浴施設の中だけにとどまりません。
キャンプなどのアウトドア人気と相まって、今注目を集めているのが「サウナテント」です。 この記事では、大自然の中で本格的なサウナをプライベートに楽しめる、サウナテントの魅力と始め方を専門外の方にも分かりやすく解説します。
最高の “ととのう” 体験への第一歩を、ここから踏み出してみましょう。
サウナテントの尽きない魅力
サウナテントがなぜこれほどまでに人々を惹きつけるのでしょうか。 その理由は、施設型のサウナでは決して味わえない、特別な体験価値にあります。
最大の魅力は、圧倒的なプライベート空間と開放感です。 誰にも邪魔されず、自分の好きな温度、好きなタイミングでサウナを楽しめます。
また、目の前に広がる大自然が水風呂代わりになることも、サウナテントならではの醍醐味と言えるでしょう。 清流のせせらぎを聞きながら火照った体を冷やし、森の木々を眺めながら外気浴をする時間は、まさに至福のひとときです [1]。
以下に、サウナテントの主な魅力をまとめました。
| 魅力のポイント | 具体的な内容 |
| プライベート空間の確保 | 仲間内だけで気兼ねなく楽しめる。 |
| 周囲の目を気にせず、自由に会話や音楽を楽しめる。 | |
| ロウリュ(サウナストーンに水をかけること)も自分のタイミングで自由自在。 | |
| 自然との一体感 | 川や湖を天然の水風呂として利用できる。 |
| 森や星空の下で外気浴ができる。 | |
| 四季折々の風景を楽しみながらサウナに入れる。 | |
| 自由なカスタマイズ性 | 薪ストーブの火力調整で、好みの温度・湿度に設定可能。 |
| アロマオイルを使ったロウリュで、好きな香りを楽しめる。 | |
| ヴィヒタ(白樺の若枝を束ねたもの)なども気兼ねなく使用できる。 | |
| 優れた携帯性 | 車で持ち運べ、様々な場所でサウナを楽しめる。 |
| キャンプやバーベキューなど、他のアクティビティと組み合わせやすい。 |
これらの要素が組み合わさることで、サウナテントは単なる暖まるための場所ではなく、心身を解放する特別な空間となるのです。
目的別!サウナテントの種類と選び方
サウナテントには様々な種類があり、どれを選べば良いか迷ってしまうかもしれません。 ここでは、ご自身の目的やスタイルに合ったテントを選ぶためのポイントを解説します。
選ぶ上で重要な要素は、主に「テントの形状」「ストーブの種類」「素材」「収容人数」の 4つです。 それぞれの特徴を理解し、自分に最適なモデルを見つけましょう。
テントの形状で選ぶ
テントの形状は、設営のしやすさや室内の快適性に直結します。 代表的なタイプの特徴は以下の通りです。
| テント形状 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
| ワンタッチ・ポップアップ型 | 設営・撤収が非常に簡単でスピーディー。 | 風に弱い傾向があり、大型のものは少ない。 | とにかく手軽に始めたい初心者の方。 |
| ティピー(ワンポール)型 | 構造がシンプルで設営しやすい。 | 中央のポールが邪魔になることがある。 | 少人数でスタイリッシュに楽しみたい方。 |
| ドーム型 | 耐風性が高く、室内空間を広く使える。 | ポールを複数使うため、設営に少し慣れが必要。 | 居住性を重視し、グループで使いたい方。 |
| キューブ型 | 壁が垂直に近いため、デッドスペースが少なく広々としている。 | 他の形状に比べて重く、かさばる傾向がある。 | 大人数の利用や、快適性を最優先する方。 |
ストーブの種類で選ぶ
サウナの心臓部であるストーブも重要な選択肢です。 主に薪ストーブが使われますですが、その特徴を把握しておきましょう。
- 薪ストーブ
- メリット:本格的な高温サウナが楽しめる。揺らめく炎が雰囲気を盛り上げる。
- デメリット:火の管理が必要。煙突の設置や薪の準備が必須。
- 電気ストーブ
- メリット:火を使わないため安全性が高い。温度管理が容易。
- デメリット:出力の高いポータブル電源が必要。薪ストーブほどの高温は出にくい。
初心者の方は火の管理に不安を感じるかもしれませんが、サウナテントの醍醐味を味わうなら薪ストーブが断然おすすめです。
その他の選定ポイント
素材や収容人数も、快適性を左右する大切な要素です。
| 選定ポイント | 内容と解説 |
| テントの素材 | 3層式生地 が主流です。外層(耐候性)、中断熱綿、内層(耐熱性)で構成され、高い断熱性と保温性を実現します。耐水圧も確認し、雨天でも使えるかチェックしましょう。 |
| 窓の有無・素材 | 窓があると外の景色を楽しめ、開放感が生まれます。TPU(熱可塑性ポリウレタン)製の耐熱窓が一般的です。 |
| 収容人数 | 使用する人数+1 名程度の余裕を持ったサイズを選ぶと、ゆったりと快適に過ごせます。例えば 2名で使うなら 3〜4 名用がおすすめです。 |
これらのポイントを踏まえ、利用シーンを具体的に想像しながら選ぶことが、満足のいくサウナテント選びに繋がります。
これだけは揃えたい!サウナテント必須アイテム一覧
サウナテントを最大限に楽しむためには、テントとストーブ以外にもいくつか揃えておきたいアイテムがあります。 ここでは、必須アイテムから、あると更に快適になる便利グッズまでを一覧でご紹介します。
安全に関わるものも多いので、しっかりと準備を整えましょう。
絶対に必要な基本セット
まずは、これがないと始まらない、基本的なアイテムです。
| アイテム名 | 用途・役割 | 選び方のポイント |
| サウナテント本体 | サウナ空間を作るためのテント。 | 前述の選び方を参考に、人数や目的に合わせて選ぶ。 |
| サウナ用薪ストーブ | テント内を暖める熱源。 | テントのサイズに適した出力のものを選ぶ。煙突もセットになっているか確認。 |
| サウナストーン | ストーブの上に置き、熱を蓄える石。ロウリュに必須。 | 10 kg〜20 kg程度が一般的。香花石やケルケスなどが有名。 |
| 一酸化炭素(CO)チェッカー | テント内の一酸化炭素濃度を検知する安全装置。 | 命に関わる最重要アイテム。必ず準備し、正常に作動するか確認する。 |
| 耐熱グローブ | 薪の投入やストーブの移動時に使用。 | 薪ストーブを扱う上で必須。革製など、耐久性の高いものを選ぶ。 |
| 火消し壺・バケツ | 使用後の炭や灰を安全に処理するために使用。 | 完全に鎮火させて持ち帰るのがマナー。 |
| 椅子(アウトドアチェア) | テント内や外気浴時に使用。 | 熱に強い素材のものを選ぶ。リクライニングできるタイプが外気浴におすすめ。 |
| 桶と柄杓(ラドル) | ロウリュでサウナストーンに水をかけるために使用。 | 木製や金属製などがある。雰囲気を重視するなら木製がおすすめ。 |
あると体験が向上するアイテム
必須ではありませんが、これらを用意するとサウナ体験の質が格段に向上します。
- ヴィヒタ
- 白樺の若い枝葉を束ねたもの。水に浸して体を叩くと、血行促進やリラックス効果が期待できます。
- サウナハット
- 高温から頭部や髪の毛を保護し、のぼせを防ぎます。
- サウナポンチョ・ガウン
- 外気浴の際に体を冷やしすぎず、リラックスした状態を保てます。
- 温度計・湿度計
- テント内のコンディションを把握し、最適な状態を維持するのに役立ちます。
- アロマオイル
- ロウリュの水に数滴垂らすと、心地よい香りを楽しめます。
- ポータブルスピーカー
- 防水仕様のものを選び、好きな音楽を聴きながらリラックスできます。
これらのアイテムを少しずつ揃えて、自分だけのオリジナルなサウナ空間を創り上げていくのも楽しみの一つです。
初心者でも簡単!設営から撤収までの完全ガイド
サウナテントの設営は、一見難しそうに思えるかもしれません。 しかし、ポイントさえ押さえれば初心者でもスムーズに行うことができます。
ここでは、一般的な薪ストーブを使用するサウナテントの設営から撤収までの流れを、ステップごとに解説します。
STEP 1:設営場所の選定と準備
安全に楽しむための最初のステップです。
- 平坦で安全な場所を選ぶ
- 地面が平らで、石や木の根などの突起物がない場所を選びます。
- 川や湖の近くが理想的ですが、増水のリスクがないか事前に確認しましょう。
- 周囲の安全確認
- テントや煙突の周囲に、燃えやすい落ち葉や枝がないことを確認し、きれいに掃いておきます。
- 風向きを考慮し、テントの入り口を風下に設営すると煙が入りにくくなります。
STEP 2:テント本体の設営

テントの種類によって手順は異なりますが、基本的な流れは同じです。
| 設営手順 | ポイント |
| 1. テントを広げる | まずは収納袋から出し、地面に広げます。入り口の向きを確認しましょう。 |
| 2. フレームを組み立てる | ワンタッチ型なら傘のように開き、ポール型ならポールを差し込んで組み立てます。 |
| 3. テントを立ち上げる | フレームを組み立てたら、テント本体を立ち上げます。 |
| 4. ペグダウンと張り綱 | テントの四隅をペグで固定します。その後、張り綱(ガイロープ)を使い、テントが風で飛ばされないようにしっかりと固定します。 |
STEP 3:薪ストーブの設置

火を扱うため、最も注意が必要な工程です。
- ストーブの脚を立てる
- テント内でストーブの脚を立て、安定した場所に設置します。
- 煙突を取り付ける
- ストーブ本体に煙突を一本ずつ差し込み、連結していきます。
- 最後にテントの煙突ポート(煙突を出す穴)から外に出し、しっかりと固定します。
- 一酸化炭素チェッカーの設置
- テント内の、人の頭の高さくらいの位置に設置し、電源を入れます。
STEP 4:火入れとサウナの楽しみ方
いよいよサウナの準備です。
| 手順 | ポイント |
| 1. 薪を組む | ストーブ内に燃えやすい細い薪と太い薪を井桁状に組み、着火剤を置きます。 |
| 2. 着火する | 着火剤に火をつけ、ストーブの扉を少し開けて空気が入るようにします。 |
| 3. サウナストーンを置く | 火が安定したら、ストーブの上部にサウナストーンを積んでいきます。 |
| 4. テント内を暖める | ストーンが十分に温まるまで薪を追加し、テント内が目的の温度(80〜100℃程度)になるのを待ちます。 |
STEP 5:撤収と片付け
楽しんだ後は、来たときよりも美しく片付けるのがマナーです。
- 完全に鎮火させる
- 薪がすべて燃え尽き、灰になるまで待ちます。
- 火消し壺や水を張ったバケツに灰を入れ、完全に消火します。
- ストーブと煙突を冷ます
- ストーブと煙突が完全に冷めるまで待ちます。熱いまま触ると火傷の危険があります。
- テントを乾燥させる
- テントが濡れている場合は、タオルで拭いたり、風通しの良い場所で乾かしたりします。カビの発生を防ぐためです。
- 原状回復
- ペグの穴を埋め、ゴミはすべて持ち帰ります。
以上の手順を守れば、安全かつスムーズにサウナテントの設営と撤収が可能です。
安全に楽しむための重要注意点とマナー

サウナテントは素晴らしい体験を提供してくれますが、火や熱を扱うため、常に危険と隣り合わせであることを忘れてはいけません。 ここでは、安全に楽しむために絶対に守るべき注意点と、周囲への配慮として知っておくべきマナーを解説します。
安全に関する最重要注意点
事故を防ぐため、以下の項目は必ず遵守してください。
| 注意事項 | 具体的な対策と理由 |
| 一酸化炭素中毒 | – 一酸化炭素チェッカーを必ず設置し、作動を確認する。 |
| – 定期的にテントの換気を行う(1時間に数回程度)。 | |
| – 少しでも頭痛や吐き気を感じたら、直ちに外に出て新鮮な空気を吸う。 | |
| 火災 | – ストーブの周囲に可燃物を置かない。特に衣類やタオルは注意。 |
| – テントの生地がストーブや煙突に直接触れないように設営する。 | |
| – 強風時は使用を中止する勇気も必要。火の粉が飛んで大変危険です。 | |
| 火傷(やけど) | – ストーブ本体、煙突、サウナストーンは非常に高温です。絶対に素手で触れない。 |
| – 薪の投入やロウリュの際は、耐熱グローブを着用する。 | |
| – 小さな子供やペットがいる場合は、ストーブに近づけないよう常に注意を払う。 | |
| 脱水症状・ヒートショック | – サウナに入る前後に、必ず十分な水分補給を行う(アルコールは利尿作用があるため水分補給にはなりません)。 |
| – 体調が優れない時は無理をしない。 | |
| – サウナ後の水風呂は、心臓に負担をかけないよう、手足からゆっくりと体を慣らす。 |
周囲への配慮とマナー
公共の場所やキャンプ場などを利用する際は、自分たちだけでなく周りの人も気持ちよく過ごせるように配慮することが大切です。
- 場所のルールを確認する
- サウナテントの設営が可能か、火気の使用が許可されているか、事前に必ず確認しましょう。
- キャンプ場や河川敷など、場所によってルールは異なります。
- 煙と臭いへの配慮
- 風向きを考え、他の利用者のテントに煙が行かないように設営しましょう。
- 乾燥した質の良い薪を使うと、煙の量を減らすことができます。
- 騒音に注意する
- 大自然の中では、普段より声が響きやすいです。
- 特に夜間は、大声での会話や音楽のボリュームに注意しましょう。
- 後片付けを徹底する
- 使用した薪の燃えカスや灰は、指定の場所に捨てるか、火消し壺で持ち帰ります。
- ゴミはすべて持ち帰り、来た時よりも美しい状態にすることを心がけましょう。
これらのルールとマナーを守ることが、サウナテントという素晴らしい文化を未来に繋げていくために不可欠です。
【徹底比較】おすすめサウナテントブランド 3選
ここでは、数あるサウナテントブランドの中から、特におすすめの 3つのブランドをピックアップし、その特徴を比較します。 それぞれのブランドに個性があり、あなたのサウナスタイルに合ったものが見つかるはずです。
| ブランド名 | 特徴 | 価格帯の目安 | こんな人におすすめ |
| MORZH (モルジュ) | – ロシア発、サウナテントの代表格。 | 200,000円〜 | – 本格的な高温・高湿度の「ロシア式サウナ」を体験したい方。 |
| – 優れた断熱性の3層式キルティング生地「サーモスティック」が特徴。 | – 厳しい冬の環境でもパワフルなサウナを楽しみたい方。 | ||
| – 120℃を超える高温も実現可能。 | – 品質と実績を重視する方。 | ||
| SAVOTTA (サヴォッタ) | – フィンランドの軍用・業務用メーカーが作る、高耐久モデル。 | 250,000円〜 | – 耐久性を最優先し、長く使える一品を求める方。 |
| – シンプルで質実剛健なデザイン。 | – 無骨でミリタリーテイストなデザインが好きな方。 | ||
| – 難燃性・防カビ性の生地を採用し、ハードな使用にも耐える。 | – グループでの使用を考えている方(大型モデルも充実)。 | ||
| AMBER (アンバー) | – 日本の気候やニーズに合わせて開発された国内ブランド。 | 150,000円〜 | – 初めてサウナテントを購入する方。 |
| – 高品質ながらも比較的手に取りやすい価格設定。 | – 安全性や使いやすさを重視する方(大型耐熱窓など)。 | ||
| – 開放感のある大きな窓や、設営のしやすさなど、ユーザー目線の工夫が豊富。 | – コストパフォーマンスを重視する方。 |
ブランド選びのポイント
- 本格志向なら「MORZH」
- とにかく熱いサウナが好きで、本格的なロウリュを楽しみたいなら、MORZHが最適です。
- その圧倒的な保温性と熱気は、他のブランドでは味わえない体験を提供してくれます。
- 耐久性と信頼性なら「SAVOTTA」
- 長年にわたって愛用できる、信頼性の高い製品を求めるならSAVOTTAがおすすめです。
- 過酷な環境でも性能を発揮するタフな作りは、まさに”一生もの”と言えるでしょう。
- 手軽さと快適性なら「AMBER」
- 日本のブランドならではの細やかな配慮がされており、初心者でも安心して使えます。
- 価格と品質のバランスが良く、サウナテント入門に最適な選択肢の一つです。
これらの情報を参考に、ご自身の予算や理想のサウナスタイルと照らし合わせて、最高のパートナーとなるサウナテントを見つけてください。
まとめ:あなただけの特別なサウナ体験を
この記事では、サウナテントの魅力から選び方、使い方、そして安全な楽しみ方までを網羅的に解説しました。
サウナテントは、ただ汗をかくだけの場所ではありません。 自然と一体になり、仲間と語らい、自分自身と向き合うための、特別なプライベート空間です。
設営の手間や道具を揃える初期投資は必要ですが、それらを乗り越えた先には、温浴施設では決して味わうことのできない、格別な “ととのい” 体験が待っています。 川のせせらぎをBGMに、満点の星空の下で外気浴をする。 そんな非日常が、サウナテントひとつで日常の一部になります。
本記事が、あなたが新しいアウトドアの扉を開く一助となれば幸いです。 安全に最大限の配慮をしながら、あなただけの特別なサウナ体験を、ぜひ見つけてみてください。


